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我が家の森林限界

情報工学学生ではありますが、記事内容はそうとは限りません。気になったものについて不可思議な文章を書き連ねます。

「Lena」って誰なのさ

技術 歴史

もう12月も半ばで夜なんかは素手を晒してると寒さでもげそうに感じる季節ですねぇ。

そんなことにも関係はないですが、今回は最近気になった、「Lena」と呼ばれる情報工学の分野で奇妙なほど普及している一枚の女性の写真について書きたいと思います。

 

そんなある日、デジタル信号の復習がてら「ディジタル信号処理(著:貴家仁志)」という本を手に取って読み始めたわけです。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4274216071/ref=as_li_qf_sp_asin_il_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4274216071&linkCode=as2&tag=hardastarboar-22

そのもう前半すぐあたりで顔を出した画像がこちら。

f:id:hardAstarboard:20161215052204g:plain

いや、ビックリしましたね。これガチのフリー素材だったの!?

 

情報工学、特に画像処理関係の分野に足を踏み入れてない方はなんのこっちゃといった方も多いでしょうが、そういった関連のサイトを巡っていると超高頻度で目にする画像なのです。

ありとあらゆる画像処理を施されて縦や横に引き伸ばされたり様々な方向に回転していたりと、もうお馴染みというか、我々にとっては最早家族みたいなもんですからね(?)

とは言っても、これまではなんかよく使われてんなぐらいの感想でスルーしてましたが、俄然興味が湧いてきました。何者なんだ、この人は…?

 

OpenCVの環境構築と導入

OpenCVについて調べていた時によく見かけた記憶があるので、こちらのサイトを見てみると、「今回も対象はおなじみの「lena」を利用した」の一文が。

ああ、やっぱお馴染みなのね…

どうやらこの人の名前は「Lena」と言うらしいので、早速Lenaでググってみると、「レナ(画像データ)」のWikipedia項目が。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%8A_(%E7%94%BB%E5%83%8F%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF)

何だかこの字面だけで笑いがこみあげてくるんですが。

 

ここの記事によると、

PLAYBOY1972年11月号に掲載された裸の女性の写真の一部画像圧縮アルゴリズムの評価に、広く使用されている標準テスト・イメージのうちの1つである。

ああ、この人全裸だったんだ

何で寄りにもよってPLAYBOYの切り抜きなんだよって感じですが、画像処理分野のサイトをいろいろ回るとアニメキャラの画像を解析している所も沢山あるので、形は違えど男の性と申しますか、先人たちの遺志はそれに連なる後継者達に脈々と受け継がれていっている訳ですねぇ(?)

さて、ではこれが広く使われるようになった経緯はと言いますと、

Wikipedia記事およびカーネギーメロン大学計算機科学部ウェブサイト内のChuck Rosenbergさん(この人現職Google社員...!)によるこの画像に関する解説記事によると以下の通り。

The Rest of the Lenna Story

彼女のフルネームは「Lena Soderberg」さん。当時スウェーデン在住のスウェーデン人女性。 

彼女の写真が使われだしたきっかけは、南カリフォルニア大学のAlexander Sawchuk教授の話によれば、1973年の6、7月に、同大学の信号画像処理研究所所属の大学院生と実験室のマネージャーが同僚が出る研究会の資料を急ぎで用意していたのですが、「あーもういつも道理の画像素材飽きちゃったよーもっとこうパーッと素晴らしい結果(ダイナミックレンジ)が出るような人物画像ないもんかなぁー」(意訳)と思っていたところ、思いがけず誰かが研究所に持ち込んだPLAYBOYを見つけたそうな。

これやん!と早速画像を取り込んだものの、スキャナの性能と512×512の画像であって欲しかったこともあって、肩までのところで切り取られた画像になったらしい。

同僚の研究会資料ということは、研究会でこれが発表されたということでしょうね。

その後、この写真の使用に関して大論争が起きました。

「女性の品位を貶める画像を使うべきじゃない」

「無断使用したらPLAYBOYから訴えられるだろ」

といった意見も散見し、反対している人も結構いたようです。

以下の記事の「(筆者が)非公式に投票を行ってみたら、(聞いてみた)男性の多くがこの画像のオリジナルについてよく知らなかった」という部分は、何というか、申し訳ない気分になってしまうわけですが。

A Note on Lena(1996年にLunaの画像使用を禁止すべきと提言してる会報の記事です。)

女性差別問題、性のシンボルが持つ魅力や引力とその利用に関する問題は現代でも様々な場所で論じられているテーマですね。

 

ちなみに、無断使用にうるさいと評判のPLAYBOYは、この画像が広く使用されることを許可しました。

Wired News(chuckさんが保存しているWied Newsの記事です。)

この記事によると、Arpanetという インターネットの先駆けにも投稿されていたそうで、「インターネット界のファーストレディー」なんて書いてあります。下記の記事によれば、この界隈への貢献度においてこれ程重要な画像もないんだそうです。

Lenna 97: A Complete Story of Lenna(色々と詳しい話が載っています。)

さらには、余りにもこの画像が普及しすぎて、Lenaさんは「Society for Imaging Science in Technology 学会50周年記念講演会」に御呼ばれもしたとか。記事によると、当時彼女は国による酒の専売関係の仕事に就いていたそうなので

(注:どうやらスウェーデンではアルコール度数3.5度以上の酒は国営の酒屋が専売しているらしい。これについては興味が湧いたので後日しっかり調べてみようかな...?)

今まで全く関わりがなかったであろう分野の大勢の研究者達が貴女の裸体写真の一部を研究に役立ててます!なんて聞かされて度肝を抜かれたに違いないですね。実際「A Noto of Lena」にもその事について言及されています。

この画像を通じてLenaさんのファンになっていた人たちから直筆サインを求められたりと大忙しだったとか。

 

いやぁ、軽い気持ちで調べ始めたのに、ここまで様々な経緯があっただなんて予想外でした。世の中何が起こるか分かったものではないですねぇ。

これからこの画像を目にする度に複雑な感情が湧き上がってくることになるでしょうね。研究中にあっては逆に大丈夫なんでしょうかね、それは。

 

それでは、またいつかお会いしましょう。